労働問題

有期雇用特別措置法・無期転換ルールの例外~定年再雇用・継続雇用の高齢者と無期転換ルール~

2020/06/01

労働契約は無期労働契約と有期労働契約の2種類に分類できます。

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正社員、パート、アルバイトなどの呼び方にかかわらず、契約期間に定めがなければ無期労働契約、契約期間に定めがあれば有期労働契約となります。

目次

有期労働契約から無期労働契約への転換

労働契約法が改正となり、同一の事業主との間で有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新される場合は、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換することとなりました。

有期労働契約であっても、更新を繰り返し勤続年数が長くなれば、実質は無期労働契約であると考えられるからです。

通算で5年のカウントの開始は平成25年4月1日以降に開始した労働契約からとなります。

定年退職後に有期労働契約で再雇用された場合、無期労働契約に転換できるのか

高年齢者雇用安定法が改正される前は、いわゆる正社員(無期労働契約)の雇用確保義務は60歳まででした。

今でも定年の年齢が60歳となっている企業が多くあります。

平成25年4月1日に高年齢者雇用安定法が改正となり、65歳まで雇用を確保することとなりました。

そのため定年退職が60歳となっている企業は次の3つのいずれかの措置を取ることになりました。

①65歳までの定年の引上げ

②65歳までの継続雇用制度の導入

③定年の廃止

ここで問題となるのは「65歳までの継続雇用制度の導入」です。

継続雇用制度とは一例を挙げると、定年退職した社員を嘱託社員などの名称で有期労働契約を締結し65歳まで雇用を確保する制度です。

労働契約法の改正により有期雇用契約が5年を超える場合は労働者は無期労働契約への転換を申し込むことができます。

たとえ定年退職後の再雇用であっても5年を超えれば無期労働契約へと転換することができるのです。(まさに終身雇用)

無期転換の要件は有期労働契約が5年を超えることなのできっちり5年で契約期間が満了となれば、そこで退職となります。

定年退職日や契約期間の満了日の設定次第では5年を超えることもあるので、念のため雇用契約書や就業規則を確認しておくとよいでしょう。

定年退職後に雇用確保措置として有期雇用される場合は特例として無期転換申込権が発生しなくなる

通常は同一の使用者との有期労働契約が通算5年を超えて繰り返し更新された場合に無期転換申込権が発生しますが、「定年後に引き続き雇用される有期雇用労働者」で「適切な雇用管理に関する計画」を作成し、「都道府県労働局長の認定」を受けた場合は無期転換申込権は発生しなくなります。

適切な雇用管理に関する計画は「第二種計画認定・変更申請書」と呼ばれる用紙に記載します。

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これに就業規則などの添付書類をつけて都道府県労働局に提出します。

必要があれば第二種認定計画申請書を都道府県労働局に提出することも検討しましょう。

無期転換申込が出来なくなるのは定年後再雇用された有期契約労働者のみ

第二種認定計画により無期転換申込権が発生しなくなるのは、定年退職後に雇用確保措置として雇用される有期契約労働者だけです。

定年退職後の再雇用ではなく、60歳以降に新たに雇用した有期契約労働者は契約期間が通算して5年を超えた場合は無期労働契約への転換を申し出ることができます。

高齢者を有期契約で雇い入れる場合は、通常の有期契約労働者と同じように契約期間に配慮する必要があります。

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