随筆・プライベート

「フェイクニュース」や「疑似科学」に惑わされないためには

2020/05/31

ゴールデンウィーク中にクリントン政権時の労働長官、ロバート・ライシュ教授の本を何冊か読み直しました。

様々な専門家の本を読んだり、話を聴くことは新たな発見につながります。

目次

専門家の意見は常に信用できるのか?

私たちの知識は限られています。

知っていることよりも知らないことのほうが多いでしょう。

自分の知らない分野については専門家の意見を参考にする人が多いのではないでしょうか。

病気にかかれば医師の診察を受けますし、環境問題が選挙の争点となれば環境問題の専門家の意見を聞いてから投票する候補者を選びます。

専門家の言うことは正しいと思いがちですが、専門家であっても時には事実と異なることを述べることがあります。

「良心のとがめ」も適正価格であれば買うことができる

ライシュ教授は著書『暴走する資本主義』の中で次のように述べています。

一九七〇年代から一九八〇年代の間に、多くの専門家が誠実さを放棄したのは、その間に企業間の競争が激化し、経済的利害が大きくなり、企業やそのロビイストが、彼ら「専門家」への報酬をもっと増やしたからだ。他の商品と同じく「良心のとがめ」も適正価格であれば買うことができるのである。

ロバート・B・ライシュ(著) 雨宮 寛 (翻訳) 今井 章子 (翻訳) 東洋経済新報社『暴走する資本主義』P216

「フェイクニュース」や「疑似科学」という言葉がありますが、こういった類の問題は以前からありました。

一九九八年、エクソンモービルは気候変動を立証した科学的所見とは意見を異にする者に対し、「物的および精神的支援」を行う運動を立ち上げた。社内資料によると、「それによって『支配的な科学的知識』に疑問を呈し、その知識の価値を低下させる」ためである。二〇〇五年、同社は気候変動に疑問を呈する三九のグループに二九〇万ドルを配った。これには世界で最も権威ある科学団体の一つである大英王室学会でさえも「科学会を二分して論争が行われているかのような誤った錯覚」を作り出しているとしてエクソンを非難した。

ロバート・B・ライシュ(著) 雨宮 寛 (翻訳) 今井 章子 (翻訳) 東洋経済新報社『暴走する資本主義』P216

「支配的な科学的知識』に疑問を呈し、その知識の価値を低下させる」

これは本当に恐ろしい取り組みですね。

こうした取り組みは社会全体の利益を減少させます。

「フェイクニュース」や「疑似科学」に惑わされないためにはどうすればいいか?

「フェイクニュース」や「疑似科学」に惑わされないためにはどうすればいいか?

私が今思い浮かぶのは次の7つです。

 

①自分の目と耳で直接確かめる

②信頼できる情報源か確かめる

③他人と話し合ってみる

④疑問があれば質問する

⑤自分自身に「なぜ?」と質問して答えが出ない選択をしない

⑥「何となく」を選択の基準にしない

⑦「皆がそうするから」を選択の基準にしない

 

あらためて考えてみると実行できていないことが多いですね。

時間がなかったり面倒に感じたりすると、情報を自分自身で確認することを怠ったり「何となく」で選択してしまうことがあります。

 

社会全体の利益のためにも安易な選択をせず、よく考えることの大切さを感じます。

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