ニセ社労士・助成金の不正受給

労働移動支援助成金で約5,000万円の不正支出

2020/05/31

こんにちは。

神奈川県鎌倉市の特定社会保険労務士・北村です。

今朝、労働支援助成金で約5,000万円の不正支出があったというニュースを見ました。

目次

労働移動支援助成金で約5,000万円の不正支出

再就職支援5千万円不適正 検査院、厚労省に改善要求

日本経済新聞

労働支援助成金にはいくつかコースがありますが、よく話題に上るのは再就職支援コースと呼ばれるコースです。

再就職支援コースとは、リストラした社員の再就職支援を民間の人材会社、職業紹介事業者、転職エージェントに依頼した場合に”リストラした側の企業”が助成を受けられる制度です。

労働支援助成金について詳し知りたい方は下記のリンクをご覧ください。

労働移動支援助成金(再就職支援コース)  労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)

労働移動支援助成金(人材育成支援コース)  労働移動支援助成金(移籍人材育成支援コース)

労働移動支援助成金(中途採用拡大コース)

事業主の方のための雇用関係助成金  厚生労働省HP

報道によると、「退職前に自力で再就職先を見つけた」「介護や育児などの理由で再就職するつもりがない」といったケースでも助成金が支給されていたとのことです。

当初から労働移動支援助成金の問題点を指摘する声はあった

労働移動支援助成金については創設当時から「かえってリストラを促進させるのではないか」という声がありました。

実際、一部の人材会社が助成金の活用とリストラに関するアドバイスを行い、それを受けた企業が社員に退職を強要するということが問題になりました。

社員が退職すれば人材会社にサービスを依頼し、リストラした側の企業は助成金を受給するという流れです。

人材サービス会社、リストラした企業、双方にお金が入ります。

「リストラ支援」「人材会社の利用」「助成金の受給」が営業パッケージになっています。

助成金の不正受給は減るのだろうか?

こうした問題が起こったことにより徐々に支給要件が厳しくなり、2016年4月から人材会社がリストラに関するコンサルティングを行った場合は助成金を支給しないことになり、2016年8月には人材会社に再就職に関する業務を依頼した時点で支給される10万円の助成は中小企業に限るということになりました。(加えて再就職決定時には大企業・中小企業ともに助成が受けれます。)

労働移動支援助成金の支給申請書には「職業紹介会社から退職勧奨ががあったかどうか」「所属する会社から退職強要があったかどうか」を本人がチェックする欄がありますが、このチェック欄に不正受給を防ぐ効果がどれくらいあるのかは分かりません

雇用保険の趣旨に本当に合致しているのか?

先日、「助成金と言うが、本当に必要な人のところにはなかなか回ってこない」という言葉を耳にしました。

労働移動支援助成金については、失業の予防や雇用機会の増大、労働者の能力開発という雇用保険の趣旨に本当に合致しているのか検討する必要があると思います。

雇用保険の主旨からすると、もっと別の仕組みの助成金を創設したり、既存の助成金を拡充したほうがいいのではないかと私は思います。

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