労働問題

有期契約労働者は「解雇しやすい」という誤解

2020/05/31

こんにちは。

神奈川県鎌倉市の特定社会保険労務士・北村です。

鎌倉に引っ越してきてから植物は室内で育てています。

室内で育てていて困ることは、ハダニが発生することです。

外であれば雨にあってハダニが流されるそうですが、室内では雨が降らないので大量発生してしまいます。

ハダニはカフェインに弱いとの聞いたので、コーヒーを植物に吹きかけてみました。

というわけで、うちの植物からはコーヒーのいい匂いがします。

ハダニは衣服について室内に入り込むので完全にシャットアウトはできないそうです。

ハダニとの戦いは長く続きそうです。

目次

実質無期契約の有期契約労働者

今日は有期労働契約について記事を書きます。

今のところ有期労働契約を締結する理由については法律による制限はありません。

臨時的な業務だけでなく恒常的な業務も有期契約の労働者に行わせることができます。

日本には有期契約を繰り返す"実質無期契約"の有期契約労働者もたくさんいて、トータルの雇用契約の期間が長くなればなるほど、雇止め(契約更新をしない)の際に労使間の争いが発生する可能性が高くなります。

【労働契約法】(有期労働契約の更新等)
第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

有期労働契約が反復して更新され"実質的"に無期契約(期間の定めのない)と同様である場合には、雇止めも解雇と同じように制限されます。

実質的に無期契約と同様か否かは、契約の更新回数や期間だけでなく、業務の内容なども判断要素になります。

恒常的な業務を行っていたり、無期契約の労働者と同じような働き方をしていれば、実質無期契約と判断される可能性が高くなります。

「有期契約は解雇しやすい」という誤解

有期契約労働者は無期契約労働者に比べて、退職させやすい、解雇しやすいと考えている方が多くいます。

これは誤解です。

【労働契約法】(契約期間中の解雇等)
第十七条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない

労働契約法では「やむを得ない事由」がある場合でなければ契約期間の途中で解雇はできないと定められています。

この「やむを得ない事由」は、無期契約の労働者を解雇する場合よりも重大な事由であるとされています。

契約期間が満了となれば退職となるのだから、それ待てないほどの重大な事由がなければ途中で解雇することはできないのです。

「他の会社では有期契約労働者を雇止めしたり解雇してるが問題になってない」への私の意見

「他の会社では、正当な理由なしに有期契約労働者を雇止めしたり解雇してるが、問題になっていない」と言われることが度々あります。

労使間のトラブルの多くは不利益を受けた側が行政や司法に訴えない限り問題は表面化しません。

どの程度の不利益を受けたときに行政や司法に訴えるかは各個人により異なります。

しかし、訴えられないから違法行為をしていいという理屈にはなりません。

有期にする明確な理由がなければ無期契約でいいのではないか

有期契約労働者を簡単に雇止め、解雇できる都合のいい存在と考えている方は多くいますが、実際はそうではありません。

私個人は有期契約労働者はあくまで臨時的な業務に用いるべきであって、特に理由がないのであれば無期契約にすればいいと考えています。

労働契約法の改正により2014年4月1日以降の労働契約の期間が5年を超える有期契約労働者は、本人の申出により無期契約に転ずることができるようになりました。

無期転換ルールについて準備をしている企業は多くあると思いますが、特に有期契約にする理由がないのであれば全員を無期契約にしてもいいのではないでしょうか。

無期契約について誤解している方がいますが、無期契約=正社員ではありません。

無期契約のパートタイマーもいます。

思い込みや業界の常識に縛られず、時には抜本的に見直しをしてみるのもいいのではないでしょうか。

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