国会で取り上げられた美容業界の業務委託契約問題
2020/05/31
こんにちは。
神奈川県鎌倉市の特定社会保険労務士・北村です。
今週末は鶴岡八幡宮で例大祭が行われます。
流鏑馬の準備も着々と進んでいます。
目次
面貸し?フリーランス?美容業界と業務委託契約
国会の質問答弁情報を調べいてたら、美容業界の業務委託契約に関する質問答弁があったのでリンクを貼ります。
平成三十年二月九日提出 質問第六八号
美容業における業務委託契約に関する質問主意書 提出者 初鹿明博
内閣衆質一九六第六八号 平成三十年二月二十日
衆議院議員初鹿明博君提出美容業における業務委託契約に関する質問に対する答弁書 内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院HP
「面貸し」「フリーランス」呼び方はいろいろありますが、美容業界には業務委託契約で働いている人がいます。
上記の質問と答弁は美容業界における業務委託契約の問題点とその対策について述べられたものです。
「フリーランス」「業務委託」について、過去にこんな記事を書いているので、お時間のある方はお読みください。
「なんちゃって業務委託」が横行する背景
「なんちゃって業務委託」とは実態としては労働者であるのに、業務委託契約を締結して働いている人のことを指します。
契約の名称がなんであれ、実態として一般のスタッフと同じようにオーナーや上司の指示や命令を受けて働けば労働者と判断されます。
違法な業務委託契約が行われる背景には、社会保険料逃れや労働基準法などの法律上の義務・責任逃れがあります。
労働者であれば一定の要件を満たせば社会保険(健康保険・厚生年金)に加入します。
社会保険料の半分は経営者が負担します。
業務委託契約と称して労働者でないとしてしまえば、経営者は社会保険料を負担しなくて済みます。
労災保険や雇用保険についても同じことがいえます。
また労働基準法や労働安全衛生法などの義務・責任からも逃れることもできます。
問題の改善には時間がかかる
この問題が改善するのに時間がかかると私は思います。
労働基準監督署が取り締まればいいという人もいますが、それはなかなか難しいと思います。
業務委託契約で働く人は労働者名簿や出勤簿に名前は出てきません。
労働者ではないからです。
名簿や資料に出てこない人について調べようとすると、複数回の抜き打ち検査を行うなど、かなりの時間と労力がかかります。
また「なんちゃって業務委託」で働く人が、それに対して異議を唱えることも現状では少ないように私は感じます。
これには働く側の社会保険や雇用保険、労災保険に関する知識不足や、「フリーランス」という肩書へのこだわりが原因にあると私は思っています。
法律を守ることがサロンの魅力になる
働き方の実態を調べて「面貸し」や「フリーランス」を雇用契約に改めているサロンもあります。
社会保険や雇用保険、労災保険の制度など、労働者であれば受けることのできる利益を示せば、多くの人は雇用契約への転換を受け入れてくれます。
よくよく考えれば法律を守ることは当たり前のことですが、その当たり前のことがサロンにとって大きな魅力になるのではないでしょうか。