賃金の消滅時効が2年から5年(当面は3年)となることが確実に
2020/05/31
こんにちは。
特定社会保険労務士の北村です。
江ノ島水族館の年間パスポートを買いました。
可愛い魚がいっぱいいるので、今年はたくさん通いたいと思います。
賃金の消滅時効が2から5年(当面は3年)となることが確実に
何度かこのブログでも触れていますが、賃金の消滅時効が5年(当面は3年)となることが確実になりました。
2019年の12月27日に労働政策審議会による建議が公表されています。
【建議】賃金等請求権の消滅時効の在り方について(PDFファイル)
労働政策審議会建議「賃金等請求権の消滅時効の在り方について」を公表します
厚生労働省HP
時間のある方は上記のリンクから建議をお読みください。
大事なところを抜粋します。
令和2年4月の施行に向けて、通常国会における労基法の改正をはじめ所要の措置を講ずることが適当である。
賃金請求権の消滅時効期間は、民法一部改正法による使用人の給料を含めた短期消滅時効廃止後の契約上の債権の消滅時効期間とのバランスも踏まえ、5年とする
当分の間、現行の労基法第 109 条に規定する記録の保存期間に合わせて3年間の消滅時効期間とすることで、企業の記録保存に係る負担を増加させることなく、未払賃金等に係る一定の労働者保護を図るべきである。
【建議】賃金等請求権の消滅時効の在り方について 抜粋
これから国会に法案が提出されることになりますが、賃金の消滅時効が延長となるのは確実な状況となりました。
不払い残業代に関する労使紛争はますます増える?
賃金消滅の時効が延長となることで、不払い残業代に関する労使紛争は増加することが予測されます。
日本では「サービス残業」という言葉があるように、賃金不払い残業が少なからず行われています。
労働基準監督署の指導により不払いの残業代が支払われた労働者の数は平成29年度で20万5,235人となっています。
これはあくまで労働基準監督署の指導が行われた企業における数字なので、実際にサービス残業を行なっている労働者の数はもっと多いと考えられます。
単純計算ですが、賃金消滅の時効が2年から3年になれば、不払い残業代請求をしたときに得られる金額は1.5倍になります。
2年から5年では2.5倍です。
現在、サービス残業が行われている企業は、労働時間を削減する、残業代を正しく計算して支払うなどの措置を早急にとるべきだと考えます。