事実婚でも「健康保険の扶養家族」「国民年金の第3号被保険者」になれる
2020/05/31
事実婚やフランス婚という言葉を耳にすることがあります。
総務省統計局の調査によると、2010年の日本の20歳~39歳の未婚の男女同居者は約33万5千人だそうです。
総務省 統計局HP
目次
事実婚でも健康保険の扶養家族になれるのか?
いきなり結論ですが、事実婚でも健康保険の扶養家族になることができます。
また国民年金の第3号被保険者となることもできます。
日本年金機構のHPでは、事実婚の配偶者を扶養家族とする手続きの際の添付書類として「被保険者の世帯全員の住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの)」などを挙げています。
日本年金機構HP
【住民票】同居を開始する際に、「未届の妻(夫)」「事実婚」と市区町村の窓口で伝える
日本年金機構などに提出する住民票の表示ですが、事実婚の相手と同居を開始するときに市区町村の窓口に「未届の妻(夫)です」「事実婚です」と伝えれば、住民票の続柄の欄に「妻(未届)」または「夫(未届)」と表示されるようになります。
2の続柄の欄に「妻(未届)」と記載されているのが確認できます。
このように「妻(未届)」または「夫(未届)」と表示された住民票を添付して、日本年金機構にて扶養追加の手続きを行います。
健康保険の扶養家族・国民年金の第3号被保険者になれるメリットは大きい
前述の総務省統計局による「非親族の男女の同居の最近の状況」では、事実婚のカップルが結婚に踏み切らない理由を次のように推測しています。
2005年頃には、20~30 代が、ロスト・ジェネレーションと呼ばれたことがあるように、就職氷河期とその後の景気低迷に直面した世代であり、フリーターやニートと呼ばれる者が多い世代でもあることから、将来安定した生計を立てる目途が立ちにくくなっている人が多いと考えられること。また、女性の社会進出の進行、特に、25~39 歳女性の労働力率の 上昇(2000~2010 年)注4)に伴い、結婚観そのものに変化注5)が生じていると考えられることなどである。
非親族の男女の同居の最近の状況(2010年) 総務省統計局HP
もし経済面での困難があるなら、事実婚の配偶者を健康保険の扶養家族・国民年金の第3号被保険者とすることには大きなメリットがあります。
健康保険の扶養家族となれば、配偶者の健康保険料はかからなくなります。
また国民年金の第3号被保険者となれば、国民年金の保険料を納付する必要もありません。
納める保険料が減るので、配偶者が国民健康保険、国民年金の第1号被保険者となっている状態より、経済的にはかなり楽になります。
実際に事実婚のカップルから相談を受けることがありますが、配偶者を健康保険の扶養家族とする手続き・国民年金の第3号被保険者とする手続きを行っていないカップルは相当数いるように感じます。
法律上の婚姻関係にないからと言って、健康保険法上、不利益に取り扱われることはありません。
何か不明なこと、困ったことがあれば、社会保険労務士などに相談いただければ幸いです。