随筆・プライベート

平成30年は明治150年~松山の偉人・秋山好古「日が暮れたなら天を見よ、常に動かぬ北斗星」~

2020/05/31

こんにちは。

神奈川県鎌倉市の特定社会保険労務士・北村です。

ここのところ、アメリカのミートゥームーヴメント(セクハラ告発)について記事を書きました。

ミートゥームーブメントは日本にも伝わり、ある事例では告発された側が代表取締役を辞任して退社することになりました。

セクハラの告発が行われた場合、企業としても何らかの行動を起こさなければなりません。

ミートゥームーヴメントはSNSを通してセクハラの告発が行われるので、社会的な注目を集めます。

ここまでの報道を見る限り、ミートゥームーヴメントは現在進行形のセクハラよりも過去に行われたセクハラを告発することが多いように感じます。

過去のセクハラに対してどのように対処するか、5年前、10年前に行われたセクハラに対してどのような対応を取るのか、関係者がすでに退職してしまっている場合はどうするべきがなど、いろいろと検討しておくことがあります。

セクハラ・パワハラは誰もが犯してしまう可能性があり、そうならないためには信念や倫理、企業文化によって自分の行動を規制する必要があります。

自らの意思で自分の行動を規制できる人は僅かしかいません。

企業としては、定期的に研修を行い、従業員が信念や倫理、企業文化から外れた行動を取らないように促す必要があります。

信念や倫理、企業文化は最も重要だと思うのですが、これらの点について無関心であったり無気力であったりする企業もあります。

目次

平成30年は明治150年

妻の実家が愛媛県の松山市にあります。私も先月愛媛に行きました。

愛媛県出身の偉人と言えば、俳句の正岡子規、陸軍大将の秋山好古、海軍中将の秋山真之が挙げられます。

3人は明治から昭和にかけて活躍しました。

司馬遼太郎の坂の上の雲を読んだ方には、お馴染みの3人だと思います。

坂の上の雲はNHKによってドラマにもされ、正岡子規を香川照之、秋山好古を阿部寛、秋山真之を本木雅弘が演じました。

神奈川県横須賀市には秋山真之が乗っていた戦艦三笠があるので、秋山真之の名前は何となく知っていました。

愛媛に行き、坂の上の雲ミュージアム、秋山兄弟生誕の家を訪れ、展示を見たり職員の方の話を聴いたところ、3人の生き方に感心させられました。

小説の坂の上の雲も読み始めました。

秋山好古~自らの信念に従って行動する人~

秋山好古という人は自らの信念や倫理に従って行動できる稀有な人だったのだと思います。

秋山好古は陸軍元帥への昇進を辞退して、松山に帰って中学校の校長になります。

陸軍元帥の昇進を辞退することも驚きですが、陸軍大将として優雅な生活を送ろうと思えばいくらでもできるのに、東京から故郷の松山に帰って中学校の校長になるというのは考えられないことです。

好古の信念に照らし合わせれば、権力や贅沢な生活よりも中学校の校長になることのほうが価値のあることなのでしょう。

中学校の校長になった後も軍人時代の自分の武功を誇らず、「陸軍大将の制服を見せてほしい」「日露戦争の話をしてほしい」などの要望は断っていたようです。

好古には「学生は兵士ではない」という考えがあり、学校での軍事関連の教育をできる限り減らしました。

軍人時代の話をしなかったのはそうした理由もあるのかもしれません。

また秋山兄弟生誕の家の職員の方から、好古の北予中学校での始業式、終業式の訓話を載せたプリントを頂きました。

訓話の中ではデンマーク国民の生活に触れている部分があります。

好古は若いころフランスに留学していますが、晩年も開かれた人だったことが伺えます。

他国の生活などの新しい情報を取り入れる姿勢は教育者にとって必須条件です。

明治や大正、昭和の前半に生きた人たちよりも、今を生きている自分のほうが開かれた人間だと傲慢にも思い込んでいましたが、秋山兄弟や子規の生き方を見ていると決してそういうことはないと思いました。

奢ることなく、日々新しいことを学ぶべきだと反省しています。

一以貫之~生涯に一つのことを成せば足る~

社会保険労務士として面白いなと思った好古のエピソードは「フランスでのお使い事件」です。

好古はフランスに留学中に、当時の陸軍の最高権力者である山県有朋からフランス将校へのお使いを頼まれます。

しかし、酒に酔ったあげく土産の品を紛失してしまいます。

これは私の想像ですが、好古にとってはお使いなどは大した仕事ではないと考えていたのではないかと勝手に思っています。

好古は「一以貫之」人は生涯に一つのことを成し遂げれば十分だと言っていて、そうした大きな視点に立てば、お使いの成否などは小さなことなのかもしれません。

 

それにしても最高権力者からの命令を失敗して(しかも原因は酒)、その後よく出世できたなと思います。

現代の社会で、社長から「得意先に土産の品を届けるように」と命令され、「得意先に向かう途中に酒に酔って土産の品を紛失しました」となれば出世の道は閉ざされてしまいそうです。

解雇はされないまでも、何らかの懲戒処分は避けられないでしょう。

もし好古が出世コースから外れたとすると、その後の日露戦争での大活躍もなくなり日本軍の大きな損失となった可能性もあります。

企業や集団はある程度官僚的にならざるを得ない部分がありますが、賞罰や人の将来性を判断することは難しいことだと改めて思いました。

日が暮れたなら天を見よ、常に動かぬ北斗星

私は常に良い人間でありたいと思っていますが、世の中には様々な誘惑があり、ついつい怠惰な生活をしてしまいます。

自分を律することはとても難しいことです。

好古が日露戦争から凱旋した際の部下への訓話の中に「日が暮れたなら天を見よ、常に動かぬ北斗星」という言葉があります。

怠惰な生活をしていないか、権力を濫用していないか、北斗星を見て方角を確認するように信念や倫理から外れた行動を取っていないか日々省みるべきだと思いました。

今日からまた心を入れ替えて頑張って行こうと思います!!

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