労働問題

年5日以上の年次有給休暇の取得義務付け、会社側が一方的に取得日を決めていいの?

2020/05/31

こんにちは。

神奈川県鎌倉市の特定社会保険労務士の北村です。

菅野和夫先生の講演を聴く

神奈川県社会保険労務士会でも社労士法制定50周年記念式典があり、東京大学名誉教授の菅野和夫先生の記念講演がありました。

菅野先生は日本の労働法の第一人者です。

菅野先生が執筆なさった『労働法』は仕事をするうえでのバイブルとなっています。

菅野先生は現在『労働法』の第12版を執筆なさっているとのことです。

働き方改革関連法の成立など労働法の分野では大きな変化が起こっているので、一刻も早く第12版の労働法を読みたいと思っています。

私のは第9版ですね。

労働法の研究に携わって50年!!

菅野先生は労働法の研究に携わって50年とのことです。

講演では、50年の間に労働法、労働環境がどのように変化してきたか、というお話がありました。

私は社会保険労務士試験に合格してから9年ちょっとです。

労働法がなぜ現在のような内容になったか疑問に思うこともありましたが、実務にはあまり影響がないので深く考えることはありませんでした。

今回、労働法の成り立ちと歴史に関する菅野先生の講義を聞いて腑に落ちるところが沢山ありました。

何事も歴史や成り立ちを知ることが重要なのだとあらためて感じています。

年5日以上の年次有給休暇の取得義務付け、会社側が一方的に取得日を決めていいの?

ここから話題が変わります。

今年(2019年)の4月から有給休暇の強制取得が始まります。

この有給休暇の強制取得は新労基法の第37条第7項に記されています。

【労働基準法】

(年次有給休暇)
第三十九条 第七項 使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。ただし、第一項から第三項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。

新労基法第39条第7項の規定によって有給休暇を取得させる際は、あらかじめ従業員の希望を聴き、できる限り従業員の希望する日に取得させることになっています。

さて「"あらかじめ従業員の希望を聴く"とか"従業員の希望する日に取得させる"なんてどこに書いてあるの?」というご質問がありました。

これについては通達で次のように示されています。

平成30年9月7日基発0907第1号 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について

使用者は、新労基法第39条第7項の規定により、労働者に年次有給休暇を時季を定めることにより与えるに当たっては、あらかじめ、当該年次有給休暇を与えることを当該労働者に明らかにした上で、その時季について当該労働者の意見を聴かなければならないものであること。
また、使用者は、年次有給休暇の時季を定めるに当たっては、できる限り労働者の希望に沿った時季指定となるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければならないものであること。

(一部抜粋、赤字強調は北村による)

厚生労働省HP

年次有給休暇は原則として労働者が希望する日に取得するもので、使用者にはそれに配慮する必要があります。

配慮の一例は労働者が年次有給休暇を取得できるよう代替要員を確保することです。

使用者が年次有給休暇の取得日を変更できるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」のみで、どのような状況が「事業の正常な運営を妨げる場合」に当たるかは慎重に判断しなければなりません。

使用者が代替要員を確保するなどの配慮を行わなかった場合は「事業の正常な運営を妨げる場合には当たらない」とした判例もあります。

こうしたことを考えれば、年次有給休暇の取得が義務になったとはいえ、労働者の希望する日に取得すべきことに変わりがないことは理解できるのではないでしょうか。

文書または口頭で有給休暇の取得を促す

年次有給休暇の取得が義務となったので、使用者としては年次有給休暇の取得日数の少ない労働者に対して文書または口頭で取得を促すことになります。

個人的には有給休暇の取得を促進する文章と有給休暇の取得希望日を記入する欄が一体となった書類を、労働者に配布するのがいいと思っています。

定期的に有給休暇の取得状況を確認し、一定期間、たとえば付与日から6か月経過しても5日以上の有給休暇取得の目途が立たない労働者に優先的に配布します。

6か月というのはあくまで例です。

労働者に年次有給休暇の取得を促すのがあまり遅くなると、1年以内に5日以上取得することが難しくなるので気を付けてください。

 

・・・その書類が欲しい?

顧問契約を結んでいただければ無料で提供いたしますので、よろしくお願いします。(*^◯^*)

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